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トップ > コラム一覧 > 直火焙煎×ダブル焙煎の流れ!焙煎深掘り解説vol.1

直火式焙煎機でコーヒー豆を焼いて30年のコーヒー屋カフェドシェフです。

当店のコーヒーの特徴は、芳醇・クリアな・極深煎り!

それを作り上げる技術は、直火式焙煎機×ダブル焙煎。

これ、結構「特殊」なんです!

コーヒーは、焙煎によって、風味に違いが出るという、奥深い飲み物です。


それではさっそく、「カフェドシェフの直火焙煎」を見ていきましょう!

直火×ダブル×極深焙煎の第一人者、野々山和夫

 

さっそくですが、こちらがカフェドシェフの焙煎です(30秒)

 

 

豊田市でコーヒーを30年以上焙煎するカフェドシェフ。

 

今から30年以上前、

直火式焙煎機でのダブル焙煎による極深煎りを

当店焙煎士、野々山和夫が自ら開発。

 

そして

今から約20年前、その手法は、業界で評価を得て

柴田書店発行のコーヒー専門書「コーヒーの辞典」

にも、執筆し、掲載されました。

 

 

そんな、野々山和夫の焙煎手法を、

「コーヒー好き女子くるみ」と一緒に見ていきましょう。

 

 

くるみ :初めまして!私、カフェ経営に憧れていて…コーヒー焙煎を見せてくれませんか?

マスター:どうぞ見ていってください。

 

 

焙煎のカギ「温度変化」

 

焙煎で、ぜひ、注目してほしいのが、

「温度変化」です。

 

 

なぜ、温度が重要かというと、

コーヒーの風味は、

豆がどのくらいの時間、どんなふうに

熱にさらされたかに左右されるから

 

1秒、1℃で味が変化する世界です。

 

この上の図は「一般的な」焙煎の温度変化グラフですが、

カフェドシェフの「直火×ダブル×極深煎り」となると、まったく異なる形になりそうです。

 

さて、

今回は、コーヒー女子くるみが、時間当たりの温度変化を記録していきます。

 

温度の調節方法

 

 

温度調節のために操作するものは、2つ!

 

  • ガス圧の強弱(火力調整)
  • 排気ダンパーの開閉(換気、煙や水蒸気の排出、薄皮飛ばし、温度下げる。当店の焙煎機の場合、火力UPの効果も)

 

では、焙煎開始です!

 

 

実際の焙煎を徹底解説

こちら動画は当店のダブル焙煎の流れです。↓

 

それでは、時系列で詳しく見ていきましょう。

 

一回目の焙煎

生豆の計量と焙煎釜の温め

マスター:釜の温度が180℃になったので今からブラジル3キロを焼きます。

くるみ :はい!いつもこのくらいの温度ですか?

マスター:季節や天気、産地、焼く豆の量によって温度は変えてます。

くるみ :へ~要因が多いんですね。。

 

コーヒーの生豆を麻袋から出し、計量します。

量は、数日中に売り切れる量を考えて、臨機応変に。

だいたい1キロくらいからが焼きやすいのですが、それ以下でも焼く技術があるとのこと。

…これは直火式焙煎機との30年の付き合いあってこそです。

 

生豆投入〜中点

 

コーヒーの生豆はザーーーと音を立てて、焙煎釜の中に流し入れられました。

常温の豆が、180℃だった釜の中の熱を奪い、

釜の温度は一気に下がっていきます。

 

 

 

はい!5分後、115℃で温度は下げ止まりました!中点です!

 

「中点」とは、

釜の温度と豆の温度が同じ温度になって釣り合ったポイントの事です。

中点から、温度はすぐに上昇に転じ、ここからが本番。

これから「水抜き」と呼ばれる段階に入ります。

 

水抜き

 

「水抜き」とは

生のコーヒー豆には9~12%の水分が含まれていますが、その水分を蒸発させる工程です。

最後の焼き上がりの頃には、水分量は2、3%になるのだそうです。

さて、今、窯の中では、豆から水分が抜けていってシワシワになっていってるはずです。

 

発展段階

 

コーヒー豆の水分が抜けたら、「乾煎り」が始まります。

乾燥した豆にどんどん熱が加えられます。

豆に含まれる何百種類もの成分は、熱を使って

さまざまな化学変化を起こし、めちゃくちゃ複雑な化合物を生み出します。

その変化は複雑だし多すぎるわで、多くは解明されていませんが、

代表的な化学変化と言えばこれらです。

  • クロロゲン酸から苦味成分への変化(苦くなる)
  • メイラード反応(お肉やトーストでできるような焼き色と香り)
  • カラメル化(プリンの黒いとこ)

もちろん、変化は、化学変化だけではなく、物理的な変化もあります。

縮んでシワができた状態から、発生したガスで膨張し、同時に硬くなっていくのです。

 

1ハゼ

 

19分後、170℃に近づいてきました。
ここでマスターに動きが!

マスター:ガス圧を上げてダンパーを開きます。

 

ここで、火を強くして、排気ダンパーを開け釜の中に新鮮な酸素を送り込みました。

マスター:そしたら音がしてくるでしょ

くるみ :ほんとですね!バチバチ言いはじめました!1ハゼですね!?うわぁ~緊張してきました!

マスター:そうです。でも、ハゼや温度に気を取られるべきではありません。豆の種類によってはハゼの前にあげるものもありますから。

マスター:スプーンで豆を確かめると、ほら、湯気が出て膨らんでるでしょ?

くるみ :ほんとだー!

 

1ハゼとは、

豆の内部空間を作っている「細胞壁」が、膨張にこらえきれなくなり、バチッと壊れる音です。

焙煎の工程で2回はぜるので、一回目を「1ハゼ」といいます。

なぜ2回ハゼるのかは、科学的に解明はされていないようです。気になりますね。

マスター:ここで火力とダンパーをうまく調整しないと、味の個性がなくなっちゃいます。

くるみ :重要なポイントですね!

 

1回目の煎り止め

くるみ :えーっと175℃。めもめも。

マスター:ここまできたら温度を見てる場合じゃないですよ!

くるみ :え〜〜!?ど、どうすれば!!!

マスターは何度も、焙煎機からスプーンを引き抜き焼き色と香りを確認していました。

 

そして焙煎開始から21分。

 

納得した所で、焙煎釜を開け、冷却槽に豆を流し出しました。
21分…けっこう時間はかかりました。
色は「浅煎りの豆」くらいでしょうか。
色のバラツキは抑えられて、そろっているように見えます。

 

1回目の焙煎結果

 

1回目の記録の結果はこちら。

縦軸が温度、横軸が経過時間です。

なるほどなるほど。

 

 

2回目の焙煎

生豆投入~中点~上昇

 

2回目は、窯の温度が170℃の時に、浅煎り(ミディアムくらい)に色づいた豆を投入。

マスター:もし焼きムラが出てたら少し低い温度で投入します。

くるみ :ふむふむ。

今度は1分後には125℃で中点をむかえて下げ止まり、上昇を開始しました。

1回目よりスピーディーな折り返しです。

 

2ハゼ

 

・・・焙煎機にかじりつき、温度計を凝視するわたし。

この道30年のマスターは、焙煎しつつも、心のこもった接客にラテアートを作成。

さすがです!

そんな姿に関心しつつ・・・

 

13分後、温度計は177℃

くるみ :マスター!バチバチ言ってますー!2ハゼだこれ2ハゼー!きゃー
マスター:落ち着いて、ハゼばかりに気を取らわれてはいけませんよ。

そして2回目のハゼも盛んになり、温度計は185℃付近に。

マスターは平静です。

 

煎り止め

 

温度計は185℃を越えましたが、もはや温度は見ていません。

マスターは頻繁に、焙煎窯からスプーンを抜き取り、焼き色と香りを確認します。

豆の表面はブツブツと油がにじみだしてきました。これは深煎り「フレンチロースト」のサイン。

 

マスター:うちのコーヒーらしく仕上げるにはもうひとこえ…

くるみ :(・・・ゴクリ。)

 

そして、ホントにもうひとこえ…くらいのタイミングで、

 

煎り止めです。

 

焙煎窯の口を開き、黒く焼かれた豆を冷却層に流しだしました。

 

すかさず、霧吹きとうちわで冷却器を応戦。

素早く確実に煎り止めました。

冷却層の回転羽でぐるぐるかき回されているコーヒー豆は、

まさにカフェドシェフらしいツヤツヤダークブラウンの豆です!

 

テイスティング(味わいチェック)

 

マスター:では、焼いた豆の味をチェックしましょう。今回はネルドリップで。
くるみ :わーい楽しみです。
マスター: ネルドリップの器具はコレ!
くるみ :え?これてづくりじゃないですか~!?
マスター:金魚すくいの枠に、豆袋のネル生地。完全にリサイクルです!
くるみ :ええ~!?DIY?マスターのお人柄、出てますね。

 

焙煎直後の味は、さっぱりしてて品の良い香り。焦げ臭さもまったくなく、おいし~!

 

マスターは、ユーモアたっぷりで、いつだって自分で方法を見いだそうと工夫をする人なんです。

そんなマスターが創造した味わいの世界を堪能できました。

 

 

2回目焙煎結果

2回目の記録は、こんな感じになりました!

マスターと30年来の相棒、直火式焙煎機ラッキーの仕事っぷりに魅せられました。
あの暴れ馬がこれ程までの味わいを生み出すなんて驚きです!

 

焙煎記録完了と考察にむけて

 

さて、ブラジル3㎏が焼き上がり、焙煎データも取れました!

その後、トラジャ0.6㎏、マンデリン2㎏の焙煎も同様に記録しました。

 

さぁ、いよいよここから考察していきましょうか!

さてと・・・

むむむ・・・こ・・・これは・・・

ダブル焙煎ってこういう事だったの!!?

クリアな味わいの秘密はこれだったのね!!!!

 

くるみ:次回、データが物語る、焙煎の特徴をお伝えします!おたのしみに!

↓こちらが次回です。

直火焙煎×ダブル焙煎を見える化。焙煎深堀り解説vol.2

 

まとめ

 

今回は、

  • 焙煎の流れのキホン
  • カフェドシェフのリアルな焙煎の様子

を、「焙煎の探求者くるみ」と共にお届けしました。

次回はいよいよ「結果」の発表と「考察」をします。

カフェドシェフの直火式焙煎機、ダブル焙煎の特徴にぜひご注目下さい。

 

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この記事の監修

野々山和夫(マスター)

カフェドシェフ経営者 焙煎士・バリスタ

高校卒業後 大阪あべの辻調理師専門学校入学
辻調理師専門学校で料理の基礎を学んだのちレストランやコーヒー専門店に勤めコーヒーの基礎を学び焙煎技術を独学で習得する。
平成4年1月カフェドシェフのオーナーバリスタ焙煎士になる。
幼い頃から手先が器用で、コーヒーのラテアートにもいかされている。特技は、豆の声を聞くこと。

愛知県生まれ

 

保有資格等

調理師/衛生管理者/中部パティシエ/コンピューター保育専門学校非常勤講師

 

 

この記事を書いた人:カフェドシェフ従業員ともりん@レトロ喫茶研究中

 

 

マスター執筆の本:

参考資料:

ケーキ

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